なぜ中国共産党は、これほどまでに無害な童話のキャラクターに対して過剰な拒絶反応を示すのか。その核心には、一党独裁体制が何よりも重んじる「指導者の無謬性(むびゅうせい)」と「絶対的権威の不可侵性」がある。
権威主義体制において、最高指導者は常に威厳に満ち、崇高で、批判の余地がない存在として演出されなければならない。民主主義社会であれば政治家の人間味や親しみやすさとして歓迎されるような風刺であっても、北京の政治力学においては「権威の脱神話化」を招く危険な毒素となる。些細ないじりや政治風刺を放置すれば、やがてそれは政策批判や体制そのものへの異議申し立てへと拡大しかねないという、支配層特有の深い猜疑心が根底にある。
笑いは権力を無力化する。恐怖と敬畏によって大衆を統率する体制にとって、市民が指導者を見て恐怖ではなく「失笑」を漏らす瞬間こそが、支配の綻びを意味するのだ。