ネット上で広く信じられているヘアカラーの定説には、現場の毛髪科学から見ると誤解が含まれているケースが少なくありません。特に代表的な2つの誤解を是正します。
第一に、「ブリーチなしなら誰でも写真通りの透け感が出る」という誤解です。ブリーチなしで綺麗なグレージュを発色させるには、染める前の段階で髪が「10〜12トーン程度の明るさ」に達している必要があります。完全なバージン毛(一度も染めていない黒髪)から1回のカラーでグレーの色味を強く出すことは、染料の化学的性質上困難です。地毛が真っ黒な状態から始める場合は、「ブリーチなしダブルカラー」を選択するか、2〜3回に分けて段階的に寒色系を重ねていくアプローチが現実的です。
第二に、「カラーシャンプーを使えば退色が完全に止まる」という思い込みです。カラーシャンプーはあくまで「抜けていく色味を補う染料補給アイテム」であり、毛髪内部からのトリートメント流出や酸化ダメージを防ぐものではありません。洗浄力の強すぎるシャンプーを併用していたり、高温のドライヤーやヘアアイロンを当て続けていたりすると、どれほど高価なカラーシャンプーを使っても退色は急速に進みます。