ネット上の言説やSNSの議論では、小泉政権に対して「弱者を切り捨てた完全な市場原理主義政権」「郵政の資産を外資へ売り渡した売国政策」といった極端な言説が散見されます。しかし、公的記録や制度設計を検証すると、実態とは少なからぬギャップが存在します。
第1に、「社会保障費の一律削減」に関する誤解です。小泉政権下では毎年の社会保障費の自然増を2200億円抑制するシーリング(概算要求基準)が導入され、これが後の医療崩壊を招いたと批判されます。しかし、同時に介護保険制度の定着や年金制度改革(マクロ経済スライドの導入)など、少子高齢化を見据えた持続可能なセーフティネットの骨格を法制化した側面も併せ持っています。
第2に、「郵政民営化で外資にすべて支配された」という説の検証です。郵政グループ(日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命)は株式上場を果たしたものの、現在も日本郵政の株式の3分の1超は財務大臣(日本国政府)が保有しており、ユニバーサルサービス義務も法律で課されています。民間金融機関と同等の競争条件を整えつつ、完全な外資買収を防ぐ法構造が維持されているのが現実です。