インターネット上で「手軽な裏技」として急速に拡散された情報の中には、技術的に極めて危険な誤解が紛れ込んでいます。その筆頭が「分解せずに隙間から接点復活剤をスプレーする」という手法です。
この行為は、一時的に症状が治まったかのように見えても、高確率でコントローラーに致命傷を与えます。市販の接点復活剤に含まれる油分や溶剤は、DualSense内部に張り巡らされた導電性ラバーパッドを急速に膨潤・劣化させ、ボタンの反応を永久に失わせます。さらに、微細な音声振動を拾う内蔵マイクやハプティックモーターのエアーギャップに薬剤が侵入すると、異音の発生やノイズ混入といった二次災害を引き起こします。接点復活剤による不具合対策を行うのであれば、完全に分解した上で綿棒に極微量を染み込ませ、問題の金属接触面にのみピンポイントで塗布するのが鉄則です。
また、「一度分解しても、元通りに組み立てれば公式保証で直してもらえる」という認識も完全な誤謬です。ソニーのサービスセンターでは、ネジ頭の微細な摩擦痕、ツメの応力白化(プラスチックが曲がって白くなる現象)、封印シールの剥離などを厳密に検査しています。一度でも自己開封した個体は即座にソニー公式修理保証対象外と判定され、有償修理すら拒絶されてそのまま返送されるケースが厳密に運用されています。