デビュー前後にまつわるエピソードとして、ネット上やファンの間で長年議論されてきたのが「松田聖子という芸名の由来」です。一部のゴシップ記事やネット掲示板では「当時大人気だった俳優の松田優作から取った」「聖母マリアを意識した」など様々な憶測が飛び交いました。
しかし、実際の真相は彼女が出演したドラマの役に端を発しています。歌手デビュー前の1979年11月から放送された日本テレビ系ドラマ『おだいじに』に、彼女は本名の蒲池法子名義ではなく、生徒役の役名として与えられた「松田聖子」のクレジットで出演しました。この役名の響きの良さ、親しみやすさ、そして若々しい語感を所属事務所のサンミュージック幹部やプロデューサー陣が高く評価し、そのまま正式な芸名として採用したのが史実です。
1980年は、後に「花の80年組」と呼ばれるアイドル黄金世代の幕開けとなった年でした。岩崎良美、河合奈保子、柏原芳恵、田原俊彦といった実力派が立て続けにデビューを果たす激戦区の中で、松田聖子が頭ひとつ抜きん出た理由は、サンミュージックの綿密なプロモーション戦略と、CBS・ソニー制作陣が構築した「アイドル歌謡に洋楽テイストを融合させるサウンド志向」が見事に噛み合った結果でした。