飼い主にとって最大の関心事は「元通りの生活に戻れるのか」という点でしょう。猫の馬尾症候群が完治するかどうかは、治療開始の初速と深部痛覚の残存状況に大きく左右されます。
神経が完全に断裂しておらず、足先の痛覚が残っている早期段階で治療を開始できれば、数週間から数カ月のリハビリを経て歩行機能が回復する可能性は十分にあります。一方で、神経が物理的に引き抜かれていたり、受傷から長期間放置されて神経細胞が壊死してしまったりしている場合、完全な機能回復は困難であり、しっぽの麻痺や排尿障害が後遺症として残る傾向にあります。
ただし、神経麻痺そのものが直接的に猫の寿命を縮めるわけではありません。適切な介護体制を整えれば、障害を抱えながらも天寿を全うすることは十分に可能です。寿命に影を落とす最大のリスクは、排尿障害に伴う慢性膀胱炎、重度の腎盂腎炎、あるいは尿毒症といった二次合併症です。圧迫排尿による日々の適切な膀胱管理と感染予防を徹底できるかどうかが、長期的な生活の質(QOL)と寿命を左右します。