ささみは、鶏の胸骨(竜骨突起)の両側に密着するように左右1本ずつ存在する「小胸筋(しょうきょうきん)」と呼ばれる部位です。私たちが普段「鶏むね肉」と呼んでいる大きな肉は表面を覆う「大胸筋」であり、ささみはその大胸筋をめくったさらに内側、いわば「胸肉の芯・奥深く」に隠れるように位置しています。
人間で例えると、大胸筋の奥で肩甲骨の動きを支えるインナーマッスルに近い構造です。鶏は基本的に飛翔しないため、この小胸筋は日常生活の中でほとんど使われません。筋肉は使われない部位ほど筋繊維が細く柔らかくなる特性があるため、ささみは「鶏肉の中で最もキメが細かく柔らかい赤身肉」という際立った特徴を持っています。
1羽の鶏(体重約2.5〜3kgのブロイラー)から取れるささみの量は、2本合わせてもわずか100g〜120g程度。全体の重量の数パーセントに過ぎない希少な部位であり、専門の解体工程でも丁寧に手作業で骨から外されています。