説得力のあるポーズを生み出すには、一流アスリートのアクション分析が欠かせない。オリンピック個人総合で数々の金メダルを獲得した内村航平氏の演技を見ても明らかなように、トップレベルの体の使い方は無駄がなく、流れるような美しいシルエットを形成する。日本体操協会の技術資料や指導マニュアルに示された体のラインは、デッサンにおける理想的なリファレンスだ。
また、体操をテーマにした名作スポーツマンガ『ガンバ!Fly high』などの作画表現を紐解くと、強調と省略の妙が冴え渡っている。実際の運動速度に人間の眼が追いつかない部分を、ダイナミックなパースとボディラインの強調によって表現する技法は、現代のイラストレーションにもダイレクトに受け継がれている。現実の解剖学と表現上のフィクションを絶妙なバランスで融合させることがキーポイントだ。