流通の現場で「大葉」という名称が不動の立場を確立した背景には、行政や農協組織による規格化が大きく寄与している。農林水産省が定める野菜の出荷規格や統計調査において、青果としての青じその葉は「大葉」として区分・管理されるケースが一般的だ。全国農業協同組合連合会(JA全農)をはじめとする農業関連団体も、生産者の出荷効率向上と市場での認知度向上を目指し、集荷・梱包の段階で大葉の名を標準化した。
日本の農業が近代化し、広域配送網が整備されるにつれて、箱に印字された「大葉」の文字は卸売市場から卸業者、そして小売店へと定着していった。一方で、梅干しの着色に使われる赤じそや、葉・茎・穂を含めた植物全般を指す場合は現在も「しそ」と呼ばれる。流通の現場と生産現場のバトンタッチが生み出した呼び名の二重構造こそが、現代の私たちが感じる疑問の正体である。