古典的な領土拡大の時代が去ったあとも、現代戦争の経済的要因は姿を変えて猛威を振るっています。かつての石油・天然ガスといった化石燃料の利権争いに加え、現在では半導体サプライチェーンの支配権、リチウムやコバルトなどの重要鉱物(レアアース)、AIインフラの覇権をめぐる熾烈な国家間闘争が繰り広げられています。
経済のグローバル化が進展したことで、各国は相互に依存し合っているはずでした。「サプライチェーンが緊密になれば戦争のコストが高すぎて紛争は起きない」という経済的平和論(デロリアン仮説など)が長らく語られてきましたが、現実は逆でした。相手国の生命線を握る「経済の武器化(Weaponized Interdependence)」が進み、金融制裁、輸出規制、エネルギー供給の遮断が平然と行われるハイブリッド戦争の時代に突入しています。
現場の安全保障関係者や商社関係者の証言を総合すると、「表向きは民主主義 vs 専制主義の戦いと掲げられながらも、水面下では次世代通信網の規格争いや海底ケーブルの敷設ルート、重要港湾の管理権をめぐる血みどろの経済的ディールが続いている」というのが冷徹な現実です。