人工授粉の作業自体は数分で完了するが、その丁寧さが着果率を左右する。プロの現場で実践されている手順は驚くほど合理的だ。
まず、当日朝に開花した元気な雄花を根元から摘み取る。花弁を外側に優しく折り返すか慎重にむしり取り、中心の葯(花粉袋)を完全にむき出しの状態にする。まるで自然の筆のような形状になった雄花を手に持ち、雌花の柱頭(中央の突起部分)へ軽やかに触れさせていく。
ポイントは「擦り付ける」のではなく「花粉をポンポンと均等に置く」感覚だ。柱頭の3つに分かれた裂片すべてにまんべんなく花粉を行き渡らせることで、種子が偏りなく形成され、形の整ったまん丸なスイカへと育つ。雄花1輪に対して受粉させる雌花は1〜2輪にとどめ、常に十分な量の花粉を届けることが結実の安定につながる。