本作の評価を不動のものにした大きな要因は、キャスト陣の真に迫る熱演です。当時5歳だった子役の佐々木麻緒が見せた涙の演技は、「日本中を泣かせた天才子役」として大きな話題を呼びました。彼女がヘリコプターの窓越しに「マリを置いていかないで!」と泣き叫ぶシーンは、多くの観客の記憶に深く刻まれています。
また、父親役の船越英一郎が体現した「村役場職員としての公務」と「父親としての苦悩」の葛藤、そして宇津井健が演じた包容力ある祖父の温かさが、単なる動物映画にとどまらない骨太な人間ドラマを構築しました。劇中でマリを演じた複数の柴犬(モデル犬)たちも、母性愛と健気さを卓越した表現力で見事に演じ切っています。
さらに、映画の感動を極限まで高めたのが平原綾香による主題歌「今、風の中で」です。新潟県中越地震の復興応援歌としても位置づけられたこの楽曲は、壮大なストリングスと平原綾香の深い歌声が重なり合い、被災地への祈りと命の尊さを象徴する名曲として親しまれています。