財津和夫が紡ぎ出した楽曲群は、日本のフォークおよびニューミュージックを「J-POP」へと昇華させる決定的な役割を果たしました。今なお歌い継がれる代表曲には、それぞれドラマチックな背景が存在します。
1973年にリリースされた『心の旅』は、デビュー後なかなかヒットに恵まれなかったチューリップが、まさに背水の陣で放った1曲でした。財津自らが作詞・作曲を手掛け、上京時の切ない別れと旅立ちを描写。当時メインボーカルを財津から甘い歌声の姫野達也へ交代させた大胆な決断が功を奏し、オリコン1位を獲得する大ブレイクへと繋がりました。
続く1974年の『青春の影』は、ビートルズの『The Long and Winding Road』にインスパイアされて生まれた珠玉のバラードです。「君の心へ続く長い一本道」という歌い出しに象徴されるように、若さゆえの情熱から一歩進んだ「静かで深い無償の愛」を描き、日本のポップスにおける結婚式の定番ソングとして定着しました。
そして1975年の『サボテンの花』は、失恋の哀愁の中に凛とした前向きさを込めた傑作です。1993年には大ヒットドラマ『ひとつ屋根の下』の主題歌としてリバイバルヒットを記録し、若い世代にもその名が浸透。さらに1979年の『虹とスニーカーの頃』など、キャッチーなフレーズと美しいコーラスワークが光るナンバーを次々と世に送り出しました。