楽曲誕生の裏側には、音楽家としての緻密な計算と無垢な遊び心が同居していた。KAN自身が敬愛してやまなかったアメリカのシンガーソングライター、ビリー・ジョエルの名曲『Uptown Girl』のようなコード進行とリズムを取り入れ、日本人にとって最も心地よいポップスへと昇華させるという明確なビジョンが存在した。
弾むようなピアノのイントロ、跳ねるエイトビート、そして一度聴いたら誰もが口ずさめるキャッチーなメロディライン。これらは決して偶然の産物ではない。自室のピアノに向かい、鍵盤を叩きながら試行錯誤を重ね、極限まで無駄を削ぎ落とした末に完成した構築美なのだ。シンプルでありながら極めて高度な音楽的技巧が、あの親しみやすい3分40秒の中に凝縮されている。