彼のアクティングの根底にあるのは、長年吉本興業の劇場で叩き込んできた漫才の基礎にほかならない。特に「M-1グランプリ」の舞台で見せた数々の名勝負は、いまも多くのファンの記憶に深く刻まれている。3年連続準優勝という記録は、圧倒的な漫才の精度と表現力の証明でもあった。
相方の言葉を拾い上げ、絶妙な間とトーンで観客の心理を誘導するツッコミ。それはすでに、上質なドラマのセリフやり取りと同等の技術を要するものだった。漫才師として究極まで磨き上げた「人間の会話を魅せる」技術が、いま役者としてのキャリアにおいて大きな武器となっている。吉本興業という巨大なエンターテインメントの現場で培った度胸と観察眼が、彼の新しい挑戦を強力に支えているのだ。