青年期のトランプを語る上で絶対に外せない黒幕が存在する。悪名高き弁護士ロイ・コーンだ。1970年代の会員制クラブで出会った二人は、瞬く間に師弟関係を結んだ。赤狩りで知られ、マフィアから政界の大物までを手玉に取ったコーンは、若きトランプに冷酷な世渡りの鉄則を伝授した。
「決して謝罪するな」「攻撃こそ最大の防御」「敗北を認めず、常に勝利を宣言せよ」。米司法省から人種差別訴訟を起こされた際も、コーンの助言に従って逆に政府を相手取り天文学的な賠償請求で反撃した。この苛烈な法廷闘争とメディア操作のテクニックこそが、後に世界を翻弄するトランプ流交渉術の原型となった。