この店の心臓部であり、すべての味の起点となっているのが名物シェフの樋口裕司氏だ。樋口氏の仕入れに対する情熱と眼力は、芝浦の市場関係者の間でも語り草になっている。早朝から芝浦へ通い、長年の信頼関係によって優先的に譲り受ける極上部位。そこには、単なるビジネスを超えた肉への情熱と職人同士の強い絆が存在する。
樋口裕司氏の手によって施される仕込みは、まさに芸術の域に達している。部位ごとに異なる筋や脂のつき方を0.1ミリ単位で見極め、包丁の角度や切れ込みの深さを変える。さらに、隠し包丁を入れることで火の通りを均一にし、噛みしめた瞬間に溢れ出る旨味のジュースを計算し尽くしているのだ。