スターバックスが日本進出を企図した1990年代半ば、日本の喫茶店市場はドトールコーヒーに代表されるセルフ式低価格店と、煙草の煙が漂うクラシックな純喫茶が二分していました。当時、シアトルで急成長を遂げていたスターバックス・コーポレーションと、生活雑貨「アフタヌーンティー」などを手掛けていたサザビー(現サザビーリーグ)が手を組み、合弁会社を設立したことがスターバックス1号店歴史と経緯の幕開けです。
当時の出店責任者や創業メンバーの回顧録によると、第1号店の立地には青山や原宿といった流行発信地も候補に挙がっていました。しかし、創業者陣が最終的に選んだのは「銀座」の地でした。流行に流されず、本物を愛好する審美眼を持った大人たちが集う街で認められてこそ、日本全国で通用する文化になるという強い信念があったためです。
1996年8月2日のオープン当日、開店前の午前6時から行列ができ、炎天下の中で記念すべき最初のオーダーが入りました。そのドリンクこそが、現在も語り継がれる「ダブルトールラテ」です。紙カップを片手に街を歩く「テイクアウト文化」や、店内完全禁煙という当時の日本の飲食店では異例の試みは、メディアで大きなセンセーションを巻き起こし、日本のカフェカルチャーの勢力図を一変させました。