レンズの前に立つだけで空間の空気を一変させる天性のグラビティ。中西ハンナの原点は、ファッション誌やショーの舞台で培われた鋭烈な表現力にある。ファッションモデルとしてキャリアをスタートさせた彼女だが、その眼差しには当時から静かな野心が宿っていた。「服を着る存在」から「物語を生きる存在」へ。モデル時代の彼女を知るカメラマンは、カメラ越しに感じた特異な気配をこう振り返る。
「単にスタイルが良いだけではない。彼女はレンズを通じて、言葉にならない感情の揺らぎを吐き出す力を持っていた」。ソニー・ミュージックアーティスツへの所属を経て、本格的に俳優業へ舵を切った時、周囲の懐疑的な視線を吹き飛ばしたのは他でもない、彼女自身のストイックな芝居への執着だった。カメラの死角でも役に没入し続けるその姿勢が、日本映画の未来を背負う若手としての足場を確実に固めていったのだ。