日本全国のうどん文化において、圧倒的な知名度とシェアを誇る香川の「讃岐うどん」と、秋田の「稲庭うどん」。このふたつが二大巨頭であることに異論を挟む者はいない。
讃岐の強みは、何と言ってもその力強い歯ごたえと豊かな弾力だ。香川県は自治体を挙げて「うどん県プロジェクト」を展開し、行政と地域が一体となってブランド価値を高めてきた。街の至る所に製麺所兼店舗が点在し、早朝から行列ができる光景は圧巻の一言に尽きる。一方、秋田県湯沢市発祥の稲庭うどんは、手延べ製法による平打ちの細麺が特徴で、絹のように滑らかな喉ごしが味わえる。かつては藩主への献上品として珍重され、庶民の口には滅多に入らない高級品だった。この対極にある個性の競演こそが、日本のうどん文化の懐の深さを物語っている。