暑い季節の定番である冷しゃぶレシピですが、ネット上の調理コミュニティやSNSでは「肉がパサついて固くなる」「たれが水っぽく薄まってしまう」という失敗談が頻繁に見受けられます。
この失敗の主因は、茹で上げ後の冷却温度と肉の表面水分にあります。沸騰した熱湯に豚肉を投入して急激に加熱するとタンパク質が収縮して硬化します。さらに、氷水に直接落として冷やすと、豚肉の良質な脂が白く固まり、舌触りが致命的に悪化します。
料理人の基本セオリーとして、豚肉は75〜80℃の微沸騰状態の湯(酒と塩を少量添加)で泳がせるように火を通し、引き上げた後は氷水ではなく常温の水、あるいは冷水を入れたボウルに浮かべたバットの上で粗熱を取るのが鉄則です。人肌程度の温度を残した状態で水分をペーパーで完全に拭き取り、そこへごましゃぶのたれを回しかけることで、たれの油脂分と肉の脂が美しく馴染み、極上のジューシーさを味わえます。