「日本の喫煙ルールは厳格すぎて理解が追いつかない」。欧米やアジア圏からの観光客にとって、指定ブース以外での喫煙禁止は時にカルチャーショックとなった。母国では路上喫煙が日常的である地域の来場者によるルール違反が散見され、多言語対応の案内看板や警備員の巡回が強化された。
警備スタッフの負担は限界に達していた。「英語や中国語で必死に説明しても、苛立ちをぶつけられることが多かった」。現場で誘導にあたっていた20代のスタッフは、当時の重圧をそう振り返る。多文化共生を謳うメガイベントにおいて、言語の壁だけでなく嗜好品にまつわる文化摩擦をどうハンドリングするかという難問が、最前線のスタッフに重くのしかかっていた。