中尾隆聖のキャリアを語るうえで絶対に外せないのが、『ドラゴンボールZ』の邪悪な帝王・フリーザ役と『それいけ!アンパンマン』のばいきんまん役という、対極に位置する2大悪役の存在だ。
フリーザで見せる冷徹で丁寧な言葉遣いからにじみ出あでやかな威圧感。一方で、ばいきんまんが見せるコミカルで人間味あふれる「ハ~ヒフヘホ~!」のシャウト。声優業界においても、これほどまでに振り幅の広い演じ分けを長年トップレベルで維持している例は極めて稀である。
「同じ声帯から出ているとは思えない」と視聴者を驚嘆させるこの表現力の根底には、声のトーンだけでなく、キャラクターの精神性まで完全に咀嚼してマイク前に立つ職人精神が存在している。