黒龍波の初陣となった暗黒武術会1回戦・六遊怪チームの是流(ぜる)戦は、ジャンプ読者に戦慄を与えた伝説の一戦です。是流は炎を操る達人であり、人間界の炎を用いる煉獄焦では決定打を与えられませんでした。そこで飛影は右腕の封印を解き、黒龍波を召喚。放たれた漆黒の龍は是流の肉体を一瞬で焼き尽くし、後方の分厚い闘技場のコンクリート壁に人間の影だけを焼き付けた(シャドウ・バーン現象)状態で跡形もなく消滅させました。
この戦いにおいて観客席の妖怪たちが逃げ惑った描写からも、技の余波だけで並の妖魔を蒸発させるほどの超高熱と呪術的威圧感を持っていたことが分かります。しかし、この時点での飛影はまだ黒龍を完全に手懐けておらず、放った直後に右腕が黒焦げとなり、筋組織が壊死寸前に追い込まれる深刻な負傷を負いました。
そして迎えた決勝戦、戸愚呂チームの重戦士・武威(ぶい)との死闘で、黒龍波の真の性質が明かされます。重厚な鎧を脱ぎ捨て、青白い武装闘気を纏った武威は、飛影が放った黒龍波を真正面から両手で受け止め、なんと力任せに跳ね返してみせました。絶望的な光景に見えたこの瞬間、飛影が放った一言が物語の潮目を完全に変えます。
「黒龍波は単なる飛び道具ではない。術の真の力は、呼び出した龍を自ら喰らい、取り込むことにある」
向かってくる黒龍波をあえて全身で受け止めた飛影は、黒炎を己の細胞へと吸収。圧倒的な妖力増幅を果たし、武装闘気を極限まで高めた武威をパンチの一撃とスピードで子供のように圧倒しました。破壊のための兵器にとどまらず、術者の限界を突破させるドーピング的強化装置としての機能こそが、黒龍波の真骨頂だったのです。