リストレットを試す前に多くの人が抱いてしまう最大の誤解が、「お湯の量を減らして作るなら、アメリカンコーヒーのように薄味になるのではないか?」という点です。しかし、これは明確な認識の間違いです。
お湯で割って濃度を下げる「アメリカーノ」とは異なり、リストレットは抽出そのものを初期の凝縮された段階で止める手法です。抽出液中の固形分濃度(TDS:Total Dissolved Solids)で見れば、むしろ通常のショットよりも密度が高く濃厚です。
「薄い」と感じる人が稀にいる理由は、濃度の問題ではなく「後口に残る苦味の刺激がカットされているため」です。人間はエスプレッソの強さを「苦味のインパクト」で判断しがちです。苦味が少ないことを「薄い」と脳が錯覚してしまうケースがあるため、ガツンとした重厚な苦味や強いスモーキーさを求めているコンディションのときには、あえて通常のショットのまま飲む、あるいはショットを追加する選択が適しています。