ベトナムの映画市場において「phim chieu rap(劇場映画)」の勢力図を大きく塗り替えたのが2018年でした。現地報道各社の取材データおよび映画興行統計(Box Office Vietnam)を振り返ると、同年の旧正月(テト)興行では、人気コメディ俳優チュオン・ザンが双子の一人二役を演じたロマンティック・コメディ『Siêu Sao Siêu Ngố(スーパースター&ドジ男)』が約1,090億ドンを記録。当時の国内興行収入ランキングで歴代トップクラスへと上り詰めました。
さらに映画ファンの間で熱狂的な支持を集めたのが、韓国の名作『サニー 永遠の仲間たち』を公式リメイクした『輝ける日々に(原題:Tháng Năm Rực Rỡ)』(グエン・クアン・ズン監督)です。1970年代の風情残る高原都市ダラットの美しい情景と、2000年代の再会ドラマを巧みに交差させ、興行収入850億ドンを突破する大ヒットを記録しました。映画館では中年層からZ世代までが詰めかけ、劇中歌のカバーがSNS上で大流行するなど、単なる興行成功を超えた社会現象へ発展したのです。