ドラマ『あなたのことはそれほど』のあらすじ詳細を振り返ると、物語は「一番好きな人(中学校時代の初恋相手・有島光軌)」ではなく「二番目に好きな人(優しく誠実なインテリア会社勤務の渡辺涼太)」と結婚した医療事務員・渡辺美都の偶然の再会から動き出します。運命を言い訳にして有島との背徳的な関係に溺れていく美都と、それを察知しながら常軌を逸した手段で妻を束縛しようとする涼太。そして、夫の浮気を鋭い直感で見抜き、冷徹に事態を収束させようとする有島の妻・麗華。この2組の夫婦が最終回で選んだ道は、救いようのない因果応報と静かなる再生が交錯する鮮烈な結末でした。
クライマックスとなる第10話(最終回)で、美都と涼太の婚姻関係は完全に破綻を迎えます。美都は妊娠の疑い(実際には想像妊娠)や狂言、周囲を巻き込んだ騒動の末に、自分が涼太の心を徹底的に壊してしまった事実を突きつけられます。涼太は美都の母・悦子が営むスナックを訪れ、かつて美都を縛り付けていた結婚指輪を外して美都に手渡しました。涼太が見せたのは、狂気の笑みではなく、執着と復讐心から完全に解き放たれた「冷淡なまでに穏やかな笑顔」でした。美都は自分が犯した罪の重さと、無償の愛を与えてくれていた夫を永遠に失った絶望を噛み締め、すべてを失ったアパートの一室で一人、前を向いて歩き出す結末を迎えます。
一方、有島光軌(鈴木伸之)と麗華(仲里依紗)の有島夫妻は、離婚という選択を回避しました。麗華は光軌に対して「あなたを一生許さない」「これからは私のために一生を捧げて償いなさい」という無言のプレッシャーを与え、実家から戻る条件として完全な主従関係を構築します。光軌は自身の浅はかな快楽主義の代償として、生涯にわたって妻に頭が上がらない冷え切った家庭内でのペナルティを背負い続けることになりました。安易なハッピーエンドを許さず、人間の身勝手さと現実の重みを鋭く抉り出した幕引きは、今なお視聴者の記憶に焼き付いています。