ネット上やSNSでは、日本代表が勝利したにもかかわらず「ポイントがほとんど増えない」、あるいは格下相手のドローで「順位が急落した」といった困惑の声を頻繁に見かけます。この事象を正しく理解するには、サッカー世界ランキング決め方の核である現行計算式の仕組みを把握しなければなりません。
FIFAは2018年ロシアW杯終了後、従来の過去4年間の平均値を取る算出法を撤廃し、チェスなどの対戦ゲームで用いられる「イロレーティング」をベースにしたSUMアルゴリズムへと移行しました。現在のFIFAランキングポイント計算方法は以下の数式によって定義されています。
P = Pbefore + I × (W - We)
この数式を構成する要素を読み解くと、男子サッカー世界ランキング変動理由が明確になります。
- Pbefore:試合前の保持ポイント
- I(試合の重要度係数):国際親善試合(非公式期間=5、公式カレンダー期間=10)、大陸選手権予選・W杯予選(25)、大陸選手権本大会(準々決勝まで35、準々決勝以降40)、FIFAワールドカップ本大会(準々決勝まで50、準々決勝以降60)
- W(試合結果):勝利=1、PK戦勝利=0.75、引き分けおよびPK戦敗北=0.5、敗北=0
- We(試合の期待勝率):両チームの対戦前のポイント差から算出される理論上の期待値。計算式は We = 1 / (10^(-dr/600) + 1)(※drは自チームと相手チームのポイント差)
この計算モデルの真髄は、「勝って当たり前の相手に勝っても期待値(We)がほぼ1に近いため、加算されるポイント(W - We)は極小にとどまる」という点にあります。たとえば日本代表(仮に1650pt)が100位以下の国(仮に1150pt)と対戦した場合、期待勝率Weは0.95を超えます。勝利(W=1)しても得られる差分はわずか0.05となり、重要度係数Iを掛けても獲得できるのは1点前後に過ぎません。
逆に、こうした格下相手に引き分け(W=0.5)や敗北(W=0)を喫した瞬間、(W - We)は強烈なマイナス値を記録します。重要度の高いワールドカップ予選で下位国に足をすくわれると、一度の失態で15〜20ポイント以上を吹き飛ばし、順位が一気に数ランク急落する現象は、まさにこの数学的ペナルティがもたらす必然の帰結です。