日本の学校文化において、アルバム写真は単なる顔写真の集積ではない。かつて昭和から平成にかけて写真界を牽引した巨匠・篠山紀信が捉えた時代の空気感や、日常の生々しい一瞬を温かいまなざしで切り取る梅佳代の作品性にも通じる、かけがえのないドキュメンタリーなのだ。映画『浅田家!』でも描かれたように、一枚の記念写真には家族や絆のドラマが宿っている。
時の試練に耐える卒業アルバムのポートレートには、流行のアプリ加工では決して表現できない「その時代を生きた証」が刻まれる。数十年後にアルバムを開いたとき、恥ずかしくも愛おしいと思える一枚。それこそが、日本の写真表現が長年大切にしてきた美学にほかならない。