「自分のお金で買ったジャケットなのだから、桜マークがなくても自己責任ではないか」と考える釣り人は少なくありません。しかし、海上交通法規の構造は乗客の自己責任論を認めていません。船上での安全確保責任はすべて「船舶職員及び小型船舶操縦者法」に基づき、操縦者(船長)に課せられています。
もし乗客が桜マークなしのライフジャケットを着用して乗船した場合、処罰されるのは乗客本人ではなく船長です。船長遵守事項違反として、船長に違反点数「2点」が付加されます。自動車の運転免許と同様、過去の点数と累積して基準点に達すると、最大6ヶ月の操縦免許停止(業務停止処分)という極めて重いペナルティが執行されます。
特に乗合船を運営する遊漁船業者にとって、免許停止は即座に「営業停止・死活問題」に直結します。そのため、現在の遊漁船現場では出港前に船長や中乗りスタッフが乗客の救命胴衣のタグや桜マークの有無を目視確認することが標準運用となっています。基準を満たさないライフジャケットを持ち込んだ乗客は、船宿のレンタル品への交換を求められるか、最悪の場合は乗船を断られることになります。