「5月の受付開始と同時に電話が鳴り止まない」。岸和田市内でサロンを営むベテランスタイリストはそう語る。だんじり祭りの本番は9月だが、女性たちの準備は新緑の季節からすでに始まっているのだ。
祭り前夜から当日の早朝にかけて、泉州エリアの美容室は不眠不休の戦場と化す。午前2時、暗闇が広がる街にぽつりと浮かぶサロンの明かり。店内には高揚感と緊張感が漂い、鏡の前でじっと順番を待つ少女たちの姿がある。1人あたりの施術時間はデザインの複雑さによって1時間から3時間に及ぶ。スタイリストたちは立ちっぱなしのまま、指先の感覚だけを頼りに黙々と編み込みを続けていく。