なぜ国はこれほど強力に大学の変革を迫ったのでしょうか。その背後には、日本が直面する3つの構造的危機が横たわっています。
第1の要因は、加速する少子化と18歳人口の激減です。定員割れを起こす大学が増加する中、国費を投じる国立大学の役割を「産業育成」と「地方創生」に直結させたいという財政的思惑が強く働きました。
第2の要因は、政府主導の理系シフト政策です。AI、データサイエンス、脱炭素技術など、グローバル競争の主戦場となる分野において日本の理系人材比率はOECD諸国平均を下回る水準に留まっていました。政府が推進する成長分野への大学転換支援事業により、文系定員を削減して情報系・工学系の定員へと振り替える動きが制度的に後押しされています。
第3の要因は、教員養成系学部の縮小です。少子化に伴う学齢児童数の減少により、教員免許取得を前提としないいわゆる「新教育学部(ゼロ免課程)」の廃止・再編が強力に進められました。これらの要因が複雑に絡み合い、世に言う「文系不要論」へと結実していったのです。