「ドラッグストアの薬で粘るか、混雑する耳鼻科へ行くべきか」——。この判断に迷う背景には、鼻づまり解消薬と処方薬の違いが正確に認知されていない問題があります。市販薬のOTC化が進んだとはいえ、医療機関で処方される医療用医薬品との間には、依然として超えられない一線が存在します。
決定的な違いの筆頭は、鼻づまりの直接的な元凶であるロイコトリエンをブロックする「抗ロイコトリエン受容体拮抗薬(モンテルカストナトリウムやプランルカスト水和物)」の存在です。これらは鼻閉に対して極めて優れたエビデンスを有していますが、2026年時点においても市販薬(OTC)としては一般開放されておらず、医師の処方箋が必須となっています。抗ヒスタミン薬単剤では歯が立たない重度の鼻粘膜浮腫に対し、耳鼻咽喉科専門医が第一選択として処方するのはまさにこの成分群です。
また、内服の充血除去薬であるプソイドエフェドリン塩酸塩についても、市販薬では安全性を最優先して1日あたりの配合上限が厳格に制限されています。医療用では高用量で劇的な効果を狙える反面、交感神経を刺激するため高血圧症、心疾患、甲状腺機能亢進症、前立腺肥大症の既往がある患者には重大な禁忌となります。自己判断で市販薬を過剰摂取することは、心血管系への予期せぬ負荷を招く極めて危険な行為です。