この劇的な変化は、偶然の産物ではありませんでした。日本テレビ系日曜ドラマ『ネメシス』で演じた天才助手・美神アンナは、一般的な常識に縛られない無国籍感と野生的な直感力を持つ型破りなキャラクターでした。関係者の証言や当時の制作発表会見によると、総監督の入江悠らクリエイティブ陣とのディスカッションの中で、「これまでの広瀬すずのイメージを完全に壊すビジュアルを作ろう」という合意が形成されたと明かされています。
広瀬すず本人は当時のインタビューで、「髪型をここまで大きく変えたのは初めて。鏡を見るたびに自分じゃないみたいで、自然とアンナのテンションに引っ張られる」と語っていました。トレードマークを自ら破壊し、記号化された「可愛いすずちゃん」をかなぐり捨てて役に没入する姿勢は、単なるアイドルの枠組みを超えた映画女優としての強い意志表示でもありました。
映画版『ネメシス 黄金螺旋の謎』のプロモーションやその後の特別番組でも、このヘアスタイルによって「身体の重心や身のこなしが変わった」と述べており、役作りの真相が単なる外見の装飾ではなく、身体感覚の変革にまで及んでいたことが伺えます。