木村花さんの急逝後、元プロレスラーである母・木村響子さんは、娘の名誉回復と再発防止のために立ち上がりました。響子さんはまず、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送と人権委員会に審理を申し立てました。
2026年3月、BPOは「放送倫理上の問題があった」とする判断を下しました。人権侵害そのものの認定には至らなかったものの、出演者が傷つくリスクを予測できたにもかかわらず、放送後のメンタルケアやネット上でのリアクションに対する安全配慮を怠ったテレビ局側の姿勢に対し、明確に厳しい指摘が突きつけられました。
さらに響子さんは、SNS上で娘に執拗な暴言を浴びせていた匿名の投稿者たちを特定し、民事訴訟を次々と提起しました。東京地裁や地方裁判所で争われた裁判では、中傷コメントを投稿した人物らに対し、数十万円から百万円を超える誹謗中傷の損害賠償判決が相次いで言い渡され、匿名投稿であっても民法上の不法行為責任を免れないことが司法の場で示されました。
そして戦いは、番組の制作主体そのものへと向けられます。木村響子さんは2026年12月、フジテレビおよび制作会社イースト・エンタテインメント(現E&W)に対し、約1億4200万円の損害賠償を求める訴訟を東京地方裁判所に起こしました。訴状では、以下の3点が強く主張されています。
- 過剰な演出の強要:出演者の感情を意図的に煽り、激しい対立構図を捏造・強調したこと。
- 炎上リスクの放置:ネット上で激しい中傷が起きることを予見できたにもかかわらず、本人の異変を察知しながら配信・放送を継続したこと。
- 安全配慮義務の違反:孤立無援となった出演者に対する精神的ケアや保護措置を怠ったこと。
テレビ局側は法廷で争う姿勢を示しつつも、この裁判はリアリティ番組というジャンル全体の制作手法に対し、抜本的な安全基準の策定を迫る契機となっています。