食べログ百名店などの常連としてネット上で絶賛評が並ぶふなまちだが、事前のイメージと現場の実態にズレを感じる声も散見される。それらの多くは、店舗固有のルールや文化的背景を誤解していることに起因する。
第一の誤解は、「電話予約をすれば店内の座席もキープできる」という思い込みだ。電話予約が適用されるのは持ち帰り(テイクアウト)のみであり、店内で食べるためには例外なく全員が最後尾に並ばなければならない。また、グループ全員が揃っていない状態での代表者のみの順番待ちは、トラブルの原因となるため避けるべきマナーとされている。
第二の盲点は、玉子焼の「食べ方」に関する先入観だ。「明石焼きは冷たい出汁に浸して食べるもの」と教条主義的に捉えている旅行者は少なくないが、地元・明石の古くからの流儀は異なる。卓上に置かれた甘口または辛口のソースをまず玉子焼の表面にハケで薄く塗り、それをあえて冷たい鰹昆布出汁の中へドボンと浸して食べるスタイルだ。ソースのコクと酸味が出汁の旨味と融合し、口の中で爆発的な味の深みを生み出す。この「ソース+出汁」の合わせ技を試さずに帰るのは、ふなまちの魅力の半分を見落としているに等しい。