犬が前足を伸ばしてお尻を高く突き上げる姿勢は、獣医学界で「祈りのポーズ(Prayer position)」と呼ばれ、激痛を伴う急性腹症の代表的なサインとされています。特に注意が必要なのが、中高齢犬や高脂肪食の摂取後に発症しやすい「急性膵炎」です。
膵炎を発症すると、自己消化によって膵臓自体や周囲の腹膜に激しい炎症と焼けつくような痛みが生じます。犬はお腹を床につけると圧迫されて激痛が走るため、無意識にお腹を浮かせた体勢をキープせざるを得ません。膵炎の初期症状における寝方としては、この姿勢を何分も維持したまま動かなくなったり、立ち上がろうとしてはすぐにこのポーズに戻ったりします。
また、胃捻転や腸閉塞、異物誤飲による腹膜炎でも同様の姿勢や、体をぎゅっと丸めて小刻みに震える様子が見られます。寒くない室温(20〜24℃前後)であるにもかかわらず体を丸めて震えている理由の多くは、急激な血圧低下や激しい内臓痛によるものです。背中を丸めたままお腹に触られるのを極端に嫌がる場合、命に関わる疾患が分単位で進行している恐れがあります。