厳かな静寂が包み込む明治神宮。参道を歩む異例の婚礼行列に、駆けつけた大勢の報道陣とギャラリーの息が止まった。執り行われたのは、厳粛な格式を重んじる伝統的な神前結婚式。しかし、そこに姿を現した主役の装いは、既存の概念を根底から覆すものだった。
頭部の左半分を埋め尽くすような豪勢な大輪の白いカトレア。伝統的な角隠しや綿帽子を一切拒絶し、ゆるやかなウェーブの黒髪に洋花をあしらったアシンメトリーなヘッドドレスは、見る者の目と心を一瞬で奪い去った。クラシカルな白無垢に、自身のルーツである地中海風のオリエンタルなエッセンスを融合させた独自の和装スタイル。時代の寵児と呼ばれた彼女だからこそ成立した、前代未聞の晴れ姿だった。