ネットの検索サジェストには時折「松山ケンイチ 昔と現在 顔変わった」「太った」といったネガティブな検索ワードが見受けられます。しかし、これは彼の俳優としての歩みを誤解した典型的な皮肉と言えます。
松山ケンイチの体型や顔つきの変化は、加齢による衰えではなく、徹底した「役柄への同化(肉体再設計)」によるものです。最大の契機となったのは、2016年の映画『聖の青春』でした。夭折の天才棋士・村山聖九段を演じるため、彼は過酷な食事制限の逆を行い、短期間で体重を20kg以上増量。精神だけでなく肉体の輪郭そのものを役に捧げるアプローチを取りました。
その後も、ボクサーを演じた映画『BLUE/ブルー』(2021年)では極限まで肉体を絞り込むなど、作品ごとに体重を10kg単位でコントロールしています。美貌を維持することよりも「作品の中で生きる人間の真実味」を最優先にするストイックな姿勢こそが、彼が長年にわたり映画界の第一線で重用され続ける決定的な理由です。