世界の標準時を理解するうえで欠かせないのが、ハワイ標準時HSTと日本時間JSTの正確な関係性です。日本時間(JST)は協定世界時(UTC)より9時間進んだ「UTC+9」、ハワイ標準時(HST)はUTCより10時間遅れた「UTC-10」を採用しています。
アメリカ本土を旅行する際に悩みの種となるのが夏時間(デイライト・セービング・タイム)ですが、ハワイにサマータイムがない理由は、ハワイ諸島の地理的位置と気候風土に深く根ざしています。アメリカでは1966年に制定された連邦均等時間法に基づきサマータイムが制度化されましたが、ハワイ州は1967年以降、一貫してサマータイムの適用を除外する法案を維持しています。
ハワイは北緯約19〜22度という熱帯・亜熱帯の低緯度地域に位置しています。高緯度地域のアメリカ本土やヨーロッパ諸国とは異なり、夏と冬の日照時間の差が極めて小さく、年間を通じて日の出・日の入りの変動幅は2時間半程度にとどまります。時計の針を1時間進めて日中の活動時間を延ばす経済的・省エネ的メリットがほとんど存在しないばかりか、夕方の暑い時間帯が人工的に延長されることで冷房需要が増大するという逆効果すら指摘されてきました。そのため、ハワイでは年中いつでも時差が「19時間」で固定されており、季節による時間変動を気にする必要がありません。
さらに旅行者を驚かせるのが、日付変更線の仕組みと日付の戻り方です。太平洋の真ん中を通る東経・西経180度付近には「国際日付変更線」が設定されています。日本からハワイへ向かって東向きに飛行する場合、この境界線を西から東へ通過するため、カレンダーの日付が「丸1日戻る」現象が発生します。日本を5月1日の夜に出発した飛行機が、約7時間の空旅を経て到着した先は、同じく「5月1日の午前中」です。まるでタイムマシンに乗ったかのような感覚に陥りますが、この「時間の逆流」こそが、人間のサーカディアンリズム(体内時計)に強烈な負荷をかける引き金となります。