植物学的な視点に立てば、ネモフィラはムラサキ科(Boraginaceae)ネモフィラ属に分類される一年草だ。日本に渡来したのは明治初期とされ、和名では「瑠璃唐草(ルリカラクサ)」と呼ばれる。青く澄んだ瑠璃色の花びらと、唐草模様のように切れ込んだ柔らかな葉の形状が見事に調和した秀逸な命名である。
日本の植物分類学の父である植物学者・牧野富太郎も、外来植物が日本の風土に溶け込んでいく過程を克明に見つめていた。原産地である北米カリフォルニアの乾燥した傾斜地から海を渡り、日本の豊かな土壌と四季に適応した瑠璃唐草。異国の野草が持つ野性味と、日本人の美意識に寄り添う儚げな風情の同居こそが、今なお人々を惹きつけてやまない理由だろう。