生理前の不眠に悩む女性たちの間で頻繁に話題にのぼるのが、東洋医学に基づく漢方薬の活用です。SNSや知恵袋等の口コミでは「加味逍遙散を飲んだらあんなに辛かった夜の興奮が落ち着いた」「手放せなくなった」という絶賛の声がある一方、「全く効果がなかった」「お腹が緩くなっただけだった」という否定的な体験談も散見されます。この生理前寝れない時の漢方薬の評判の二極化には明確な理由が存在します。
まず、加味逍遙散の不眠への効果について検証します。加味逍遙散(かみしょうようさん)は、自律神経の乱れを整える「柴胡(さいこ)」や「薄荷(はっか)」、血行を促す「当帰(とうき)」や「芍薬(しゃくやく)」、熱を冷ます「山梔子(さんしし)」や「牡丹皮(ぼたんぴ)」など10種類の生薬で構成されています。特に「イライラしてカッカと体が火照る」「胸がざわざわして眠れない」「ささいなことで怒りっぽくなる」といった、熱感を伴う精神不安型の不眠に対して極めて高い効果を発揮します。
しかし、漢方薬には個人の体質を見極める「証(しょう)」の一致が不可欠です。加味逍遙散は「虚弱〜中間証」で熱が上部にこもっている人に適した処方です。もし、冷えが非常に強く胃腸が極端に弱い虚弱体質の人が服用した場合、胃もたれや下痢を起こすリスクがあり、本来の不眠改善効果も十分に得られません。
例えば、全身の倦怠感が強く不安で涙もろくなり眠れないタイプには「帰脾湯(きひとう)」や「加味帰脾湯(かみきひとう)」、お腹の張りやガスだまり、喉のつかえ感があって寝付けないタイプには「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」が第一選択となります。「生理前不眠=加味逍遙散」という短絡的なネットの情報を鵜呑みにせず、自身の体質に合った処方を専門医や漢方専門薬局で見極める姿勢が成否を分けるポイントです。