街中を浮遊している個体と、植物に固着している個体では、生物学的な分類が根本から異なります。目撃されるケースの大半は、以下の4種類に集約されます。
1. 空を舞う白い妖精の正体「雪虫(ワタムシ)」
秋風が吹き始める10月から11月にかけて、北日本をはじめ各地で空中をふわりと漂うのが、通称「雪虫」と呼ばれるアブラムシの仲間です。代表種であるトドノネオオワタムシは、体長わずか1.5mm〜2.5mm程度の微小昆虫ですが、体表から分泌する純白の蝋(ロウ)物質を綿毛のようにまとって飛行します。 この白い綿は外敵から身を守る防御壁であると同時に、風に乗って遠くへ運ばれるための浮力装置の役割を果たしています。初冬にヤチダモなどの寄生木からトドマツの根元へと産卵・越冬のために大移動する過程で、人間が生活する都市部の上空を通過します。
2. 庭木や草むらで跳ねる「アオバハゴロモの幼虫」
初夏から盛夏(5月〜8月頃)にかけて庭木や生垣、アジサイなどの茎に見られる綿の塊は、カメムシ目に属するアオバハゴロモの幼虫です。体長は3mm〜5mm程度で、全身を純白の綿状分泌物で覆い隠しています。 植物を揺らすと、白い綿自体がピョンと驚くほどの跳躍力で飛び跳ねるのが特徴です。成長すると淡いウグイス色の美しい翅(はね)を持つ成虫になり、植物の汁を吸う害虫として園芸愛好家を悩ませます。
3. 観葉植物を枯らす厄介者「コナカイガラムシ」
屋内のパキラ、モンステラ、多肉植物などの葉の裏や茎の分岐点に「動かない白い綿の粉」が付着している場合、その正体はミカンコナカイガラムシやフジコナカイガラムシなどのカイガラムシ類です。 体長は2mm〜4mm前後で、メスの成虫はほとんど移動せず、植物組織に口針を突き刺して植物の栄養分を吸い続けます。体表が撥水性の極めて高いワックス層で覆われており、一般的な水やりや簡易的なスプレー噴霧を容易にはね返す頑強さを備えています。
4. 竹林やササに寄生する「タケノアブラムシ」
庭園の竹や笹の葉裏にビロード状の白い綿が固着している場合は、タケノアブラムシ(別名:タケケツムシ)の可能性が高まります。数千匹規模のコロニーを形成し、葉から養分を奪うとともに、排泄物によって植物の葉が真っ黒に変色する「すす病」を引き起こします。