大手予備校関係者や高校教員への取材によると、古典読解におけるケアレスミスのうち、単語の意味の取り違えによる失点の上位に必ずランクインするのが「をかし」と「あやし」の混同、そして「いとおかし」の現代語的誤読です。模試の採点データでは、選択肢問題で「滑稽で笑える」「おかしな行動である」といった現代語の意味をそのままあてはめた選択肢を選んで誤答する受験生が、毎年約25〜30%にのぼると報告されています。
さらにSNSや知恵袋などのコミュニティを検証すると、若年層の間で「いとおかし」がネットスラングとして消費されている実態が浮き彫りになります。SNS上では「推しのビジュアルがいとおかしすぎて草」「友達の動きがいとおかし」といった形で、「めちゃくちゃ面白い」「ウケる」というスラング表現として定着しています。この日常感覚のまま古典の本文に向き合ってしまうと、筆者が真剣に自然の美を讃えている場面で文脈を完全に見失ってしまうのです。
社会人の古典学び直しブームにおいても、「高校時代は退屈だった枕草子が、社会人になって読むと清少納言の切れ味鋭い観察眼に共感しかない」という声が多数上がっています。ビジネスのプレゼンや日常のコミュニケーションにおいて「物事をいかに面白がるか」という視点は、清少納言が実践した「をかし」の知性主義そのものであり、単なる受験勉強を超えた知的教養としての再評価が進んでいます。