テキスタイルから始まった美意識の波紋は、器、家具、さらには建築や宿泊施設へと拡張を続けている。東京・青山の「call」をはじめ、国内外の宿泊空間や個人住宅のディレクションに至るまで、手がける空間には一貫した「呼吸のしやすさ」が宿る。
過剰な装飾で圧倒するのではなく、光の差し込む角度、床を踏みしめる感触、手に馴染むカップの縁の薄さにまで細やかな配慮が行き届く。衣服という「最も身近な空間」から、人間を取り巻く「環境そのもの」へ。生き方そのものをデザインするという壮大な実験は、多忙を極める現代人の心を解きほぐすオアシスとして機能している。