マラソンファンの間で長年議論されてきた「大迫傑のVO2maxは具体的にいくつなのか」という疑問。結論から言うと、大迫選手本人が公式メディアで「私の測定値は〇〇です」と確定的な数字を公表した記録はありません。しかし、彼が所属した名門チームでのフィジカル測定や、陸上・運動生理学の専門機関による推定データから、その実態は極めて具体的に絞り込まれています。
日本の実業団トップクラスにおけるマラソン選手 vo2max 平均は、一般におよそ70〜78 ml/kg/minとされています。一般的な成人男性の平均値が40〜45 ml/kg/min程度であることを考えると、それだけでも驚異的なスペックです。しかし、世界のメジャーマラソンで表彰台を争うエリートランナーたちの数値は80 ml/kg/minの大台を突破します。関係者の証言やトレーニングデータ、レース時の酸素負債耐性から逆算すると、大迫傑選手のVO2maxは80〜84 ml/kg/minのレンジに到達していると分析するのが運動生理学の定説です。
かつて彼が残した自著やインタビューでも語られている通り、大迫選手自身は特定の数値に執着する姿勢を見せていません。「数字はあくまで現状を把握するための材料に過ぎない」というリアリストとしての哲学が、過酷な海外遠征や単身での挑戦を支えてきました。取り込める酸素の限界値(VO2max)が高いことはランナーとしての「エンジンの排気量」が大きいことを意味しますが、大迫選手が真に優れていたのは、そのエンジンをマラソンという過酷な42.195kmで燃焼し尽くさない制御力にありました。