同社の歩みを振り返る上で、ダイヤモンドワイヤの存在を外すことはできない。かつて太陽光パネル向けシリコン切断用ワイヤで世界を席巻し、その後の急激な市況悪化によって手痛い打撃を受けた歴史は記憶に新しい。しかし、過去の痛烈な教訓こそが現在の強靭なポートフォリオを形作る土台となった。
代表取締役社長の井上誠氏が主導してきた事業ポートフォリオの再編は、汎用品の価格競争から完全に脱却し、高付加価値領域へ経営資源を集中させる道だった。泥沼の価格競争に巻き込まれたかつての姿はもうない。培った極細線加工と研削のコア技術は、より参入障壁の高い最先端分野へと見事に再定義されている。