布施明が歌い大ヒットを記録し、第17回日本レコード大賞をはじめ数々の賞を総なめにした「シクラメンのかほり」。この楽曲のタイトルや歌詞に込められた繊細な感性もまた、日々の暮らしのなかに咲くささやかな風景から着想を得ている。銀行員として多忙な日々を送る傍ら、ふと見つめた妻の横顔や家の中に漂う季節の香りが、彼のペンを走らせたのだった。
華やかな表彰式やヒットチャートの狂騒から一歩引いた場所で、夫の健やかな日常を守り続けた佳子夫人。ヒットメーカーとして多大な注目を集めてもなお、浮足立つことなく地に足のついた生活を貫けたのは、彼女の揺るぎない存在があったからにほかならない。