重厚な洋館や閑静な喫茶店、石畳の路地など、作品全体を覆うクラシカルな空気感は、京都府京都市の歴史的景観と驚くほど親和性が高い。作中で象徴的に描かれた翡翠の邸宅を思わせるクラシック建築の面影を求め、多くのファンが京都の文化遺産へと足を運んでいる。
聖地巡礼の出発点として外せないのが、歴史ある洋館建築が保存されている左京区・東山区周辺のエリアだ。ステンドグラスから差し込むやわらかな光、磨き上げられたアンティーク家具が並ぶサロン。翡翠が香月とともに紅茶を口にしていた空間の空気が、そこには色濃く残されている。
巡礼をより深く楽しむなら、午後の光が傾く黄昏時を狙いたい。鴨川沿いの小道から祇園の奥へと続く細い路地を歩けば、まるで角の向こうからフリルをまとった翡翠が現れるかのような錯覚に囚われる。物語の余韻を噛み締めながら歩くルートは、ファンにとって特別な追体験の時間となる。