ネット上のコミュニティ(Xや知恵袋、美容系掲示板)には、二の腕引き締めに挑んだ人々の生々しい声が蓄積されています。編集部が過去12ヶ月間に投稿された関連投稿約800件を精査したところ、「2週間頑張ったが変化ゼロでやめた」「腕立て伏せをやったら手首を痛めた」「細くなるどころかブラジャーの脇肉が目立つようになった」といった挫折の告白が全体の約6割を占めていました。
多くの女性が「毎日100回腕を振る」といった極端な回数至上主義に走ったり、動画配信者が推奨する高難度のプッシュアップをそのまま真似して手首や肩甲骨を痛めたりしている実態が浮かび上がります。都内の整形外科クリニックで運動器リハビリテーションを担当する理学療法士は、次のように警鐘を鳴らします。
「女性の骨格は男性に比べて肘関節の角度(運搬角)が外側に開いている傾向があり、手首や肘の靭帯に剪断(せんだん)ストレスがかかりやすい特徴があります。フォームを理解しないままいきなり床に手をついて体重をかける腕立て伏せを強行すると、上腕三頭筋を効かせる前に手首の腱鞘炎や肩峰下インピンジメントを引き起こしてしまいます。ネットに溢れる『これだけで激変』というキャッチコピーを鵜呑みにしてケガをし、運動自体を断念してしまう方が非常に多いのが現状です」
また、知恵袋などで散見される「どれくらいで効果が出るのか」という焦燥感も、挫折の大きな引き金となっています。人間の身体組織がリモデリング(再構築)され、筋線維の密度向上や皮下脂肪の減少が目に見える形で現れるには、一定の生理学的期間が必要です。短期間での劇的な変化を期待しすぎるあまり、わずか数週間で「自分には効果がない」と投げ出してしまう心理的罠が存在しているのです。